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活用事例

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File_018 /御料理 豆信

2023.08.09

100年の時をそのままに刻む

浜通りと花街だった柴屋町の交差する角地に建つ、門付き高塀に、入母屋造りの重厚な佇まいの「料亭・豆信」。1894年(明治27年)創業で、1914年(大正3年)に現在の場所に「豆信料理店」として文書に記載されています。1918年(大正7年)に建て替えて、旅人宿営業を始めました。

1934年(昭和9年)道路拡幅により改造。2階の虫籠窓が無くなり、立ちが高くなり卍(まんじ)崩しの桟が施されたガラス窓に変わり、塀瓦を載せた高塀に、瓦庇付きの玄関で塀の腰は幅の広い板を用いて料亭としての構えを整えました。2階は襖を外すと27畳の大広間となります。1981年(昭和56年)びわこ国体を最後に、旅館業を辞めたのは、洗面所の数や浴室の広さが当時の設備営業基準にあわなかったからとのことですが、そのまま設備は残されていてレトロ感が漂います。その後現在まで「料亭」として営業。2011年(平成23年)料亭棟、土蔵、門塀が国の登録有形文化財になりました。

まちなかで 自然と共生する

玄関にはガラス越しに季節に応じた古典的な「立華」がいけられており、通りがかりにみかけてその風格に思わず背筋が伸びます。季節によって、祇園祭の時節はヒオウギ、正月にはオモトなどがいけられます。

女将と若女将にお話を伺いました。 1階の庭に面したお座敷、夏はヨシ障子、冬は雪見障子に入れ替え、自然の風景を楽しめる趣向。古典的だからこそ「自然と共に生きる日本」をまちなかで感じます。

雪がちらつくとき池のなかの紅白の錦鯉とともに池の周りには苔むす庭石と深緑の葉っぱに「千両」「万両」「百両」の赤い実が庭に彩を持たせます・・・鳥たちが苔の下の虫や赤い実をついばみに来るので、色とりどりの鳥の訪問も風情があるが、お客様のいない時にはネットを張って実を守っているそう、女将さんたちの細やかな気配りに守られているのです。

伝統文化を気軽に楽しんでほしい。変わらないからこその魅力

私も法事で訪れたことはありましたが、何か事がないと一人でフラッとは入れない雰囲気で、その風格ある佇まいから「敷居が高い」印象を持つ人も多いです。

もう少しカジュアルに料理を楽しんでほしいと、京都で修業された5代目の現当主が2023年2月「昼餉」を始められました。着物で接待する夜とは違い、洋服で気軽におもてなしをするというお二人。敷居が高いどころか大変フレンドリーでありながら慎み深い口調のやさしい大津ことばでのほっこりする会話は昼餉の味わいをより深めて楽しませてくれます。

「昔のまま建築をなんにもなぶってへんのです」という言葉に、訪れてみて「変わらない事にこそいま価値」があると感じました。

File_018 / 御料理 豆信

登録有形文化財の建物で四季折々の味覚をご堪能ください。昼餉の営業も不定期にやってます。詳しくはnstagramでご確認ください。

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