– 町家の魅力を活かしたリノベーション-
改修は2016年昨年9月からスタートし、約半年かけて進めました。
改修前の解体作業で、外壁や内装の表面を剥がしていくと、シックな黒壁やモダンな洋室など、町家の建築当時の姿が明らかになってきました。
改修では、通り庭や火袋など伝統的な町家様式を生かし、水屋箪笥や石製シンクなどの家具なども含め、建築当時の姿を可能な限り残したこだわりの宿に仕上げました。特に中高年層の宿泊客からは「昔懐かしい感じで落ち着く」との声が聞かれます。
古い建物を現代に蘇らせるためには、様々な工夫も必要です。
朝食用に新設したカウンターは、手前に5枚重ねの扉を設けて防寒機能を設けました。また、建物全体の水はけをよくして湿気を逃がすため、地下の配管を引き直したり、緊急時には格子窓を押し開けて外に出られるようにするなどの対策も。
大津ならではのローカルな良さを伝えたい
オープンから約2年が経った2019年1月の状況をスタッフさんに伺うと「SNSや予約サイトを見て来てくださるお客さんが多く、外国人客の比率も上がっています。繁忙期は満室になる日も続きます」と順調な様子でした。
2018年は予約サイトの「ブッキングドットコム」で10点中9・6点の高得点を達成し、高評価の宿に贈られる「口コミアワード」に輝きました。
書道体験、巻き寿司づくり、浴衣の着付けなど体験型のイベント開催や、冬はこたつ、湯たんぽなどのサービスも。3人以上の希望で社長が自らお茶会を開くなど、ユニークな戦略を打ち出しています。
海外に長く留学していたというスタッフは、自身の体験から、日本独自の良さを海外の人に伝えたいと思うようになったのだそう。「観光地化されすぎていないことが大津の魅力。人々のローカルな生活に触れることで、大津そして日本の良さを知ってほしい」と語っていました。
ところが、2000年初頭からの新型コロナ肺炎の影響で海外のお客様の訪問は滞りました。しかしながら「GOTOトラベル」や「滋賀を旅しよう」などの宿泊割引を利用して、国内から幅広い年代層のお客様がお越しいただくようになりました。特に若い世代のお客様に町家を知って頂けるきっかけになったと語ります。
国内外を問わず大津、そして日本の良さを知ってもらおうと取り組まれる姿勢を頼もしく感じます。
File_006 / 大津町家の宿 粋世
伝統的な町家の和室とレトロが薫る洋室、全5室。お目覚めには、ほっこり温かい朝食をご用意しております。寝床と朝食を提供するB&B(ベッド&ブレックファスト)という気軽で親しみやすい宿スタイルである一方、由緒ある本物の町家に泊まることができ、外国人観光客にも人気を集めています。
また、月3日間限定の完全予約制カキ氷もやっています。カキ氷の各月の営業日、メニュー、予約は全てインスタグラム(@inase_ice)にて。
- 受付営業時間:8:00 ~ 10:00 / 15:00 ~ 21:00
- 定休日:繁忙期を除く火曜日から木曜日/不定期で休館あり
- 住所:〒520-0046 滋賀県大津市長等3丁目3―33
- 電話番号:077-510-0005 お電話対応時間: 8:00 ~ 21:00
- URL:https://www.inaseotsu.com